· 

遠近両用メガネは快適

遠近両用メガネの知識を深めて快適に使いましょう。

累進屈折力遠近両用メガネ(境目が無い遠近両用レンズを使用するメガネ(以下、遠近両用累進レンズを遠近レンズと略します)の構造と特性、上手の選び方、使い方を説明させていただきます。遠近両用メガネは一つのメガネで遠方から近方まで続けて見ることができるシニア世代にとっては大変便利で若さを取り戻せるメガネです。しかし、視線や顔を左右に動かした場合、足元を見たときのユレ、ユガミ、ボケを不快に感じるメガネであることも事実です。まずは構造から説明します。上にある図でAが遠方が見えるエリア、Cが手元が見えるエリアそしてBが累進帯と言って遠用部から近用部へ度数をスムーズに移行させ且つ中間の距離が見えるエリアになります。そして、図の側方部と書いてあるエリア、ここが遠近レンズの欠点(このエリアを見るとユガミ、ユレ、ボケを感じます)を押し込めてあるエリアでレンズ設計においてここの欠点をいかに少なくするかが大変重要になります。

設計パターンの違いはというと、図の遠用部、中間部、近用部とありますが、どこのエリアもスッキリ見える範囲を広く取る設計にすると側方部(周辺を見た時)のユレ、ユガミ、ボケが多くなり、逆にスッキリ見える範囲を狭くするとユレ、ユガミ、ボケは少なくソフトな設計になります。Bの中間部は縦の長さが長いほど側方部のユレ、ユガミ、ボケは少なく中間部の視界が広くなり、逆に短い程ユレ、ユガミ、ボケは多くなり中間部の視界は狭くなります。中間部(累進帯)の長さはレンズメーカーによって違いますが10mm~17mm位が発売されています。遠用部、中間部、近用部の視界を広くクリアーに見たいお客様には側方部にユレ、ユガミ、ボケが多くなることを承知いただきハード設計の遠近レンズを勧めています。遠近両用メガネが慣れにくい、使いにくい原因であるユレ、ユガミ、ボケを少なくしたいお客様には視界が狭めになりますがソフト設計の遠近レンズをお勧めしています。また、中間部(累進帯)の長さが長くなると中間部の横幅、視界も広くなり側方部のユレ、ユガミ、ボケは少なくなりますが近用部で手元を見る時に回旋角(視線を下げる角度)を大きくして見なければならず手元が見にくく首や眼筋の疲れの原因の一つになります。短くなると横幅、視界が狭く側方部のユレ、ユガミ、ボケは多くなますが回旋角は少なく視線をあまり下げなくてもよいので眼筋や首の疲れが少なくなります。遠近レンズはこのような特性を持ったレンズです。

快適に使える遠近両用メガネを作るポイント。

私たち眼鏡技術者はメガネ、特に遠近両用メガネをお作りする時にはお客様のライフスタイルやお作りするメガネの用途、お困りの状況等をお聞きしてどのような設計パターンのレンズがよいのか判断し、お客様が快適に使っていただけるレンズの選択を行います。例えば、遠方を広くクリアーに見たいお客様には側方部のユレ、ユガミが多く違和感が出やすく慣れるまでに多少時間がかかること、ユレ、ユガミが少なく違和感を感じにくい見え方を好むお客様には遠方、近方の広くクリアーな視界が多少犠牲になる事を納得していただき、また、中間部(累進帯)の長さはどの位がよいかを勘案し快適にお使いいただける遠近レンズの種類を決めていきます。それと遠近両用メガネに適したフレーム選びもとっても大切です。

調整度数によって快適さが変わる。

遠近両用メガネに限らず、メガネを作る場合はまず、しっかりと基本度数を測定すろことが基本中の基本です。この度数がいい加減だといくら設計の良い高額なレンズを使ってもまったくその価値が出ません。それと基本度数を調整する事により遠近両用メガネの知識のところで説明させていただいたレンズの特性を変えてよりより使いやすいメガネにする事ができます。例えば、近視で車の運転もされ遠方をしっかり見たい方にお店の検査距離での度数でよく見えているからと、そのまま遠近両用メガネの度数にしてしまうと側方を見たときはもちろん正面視でもボケを感じたり、側方の視界を狭く感じてしまうことがあります。逆に車の運転はしないし、そんなに遠くがしっかり見えなくても良いという方には近視の度数を弱くしてお使いいただくと近用部の加入度数を弱くでき側方部のユレ、ユガミ、ボケが少なく、視界も割と広くなり具合よく使えます。まだこの他に乱視、遠視、老視の調整の仕方でより使いやすい遠近両用メガネにすることができます。

フレームのフィッティング調整で快適さが変わる。

遠近両用メガネのフィッティング調整(掛具合の調整)によってもレンズの特性からくる欠点を少なくし快適にお使いいただけるようになります。逆に不適切なフィッティングによって不具合を感じるようになってしまうこともあります。例えば、ユレ、ユガミ、ボケが気になる場合メガネを顔に近づけたり前傾角と言ってフレーム全面とツルの角度を強くすることによって改善されることがありますし視界も広くなります。しかし、近づけ過ぎると近用部で手元を見る時に視線を下げる角度がきつくなるため近用視が辛くなります。また、フレームの上下の移動によっても遠用部、近用部の見え方、快適さを変えることができます。